おはようございます しんちゃんです。
「高機密高断熱の家は乾燥する」
家作りを考え始めて色々調べていく内に、この言葉をよく見聞きしました。
最初は「そうなんだ」ぐらいにしか思わず、一条工務店の営業担当のからもそう聞いたし、実際宿泊体験をしてみて「乾燥する」と感じました。
「なぜ高機密高断熱の家は乾燥するの?」と特に疑問などなく、実際経験した事もあり疑わなかったのですが、よくよく考えてみると「なんで?」と不思議に思えてきました。
それは、今まで住んできた家も冬は乾燥していたからです。
今まで住んできた家は、高機密高断熱の家ではなく隙間も沢山ありとても暑くて寒い家でしたが、冬は当然のように乾燥していました。
今回のブログでは、この「高機密高断熱の家は乾燥する」という事について書いていきます。
「本当に高機密高断熱の家は乾燥するのか?」という疑問から色々調べてみての私の結論になります。
・・・と、本題に入る前に少し補足です。
「乾燥する」という話なので、冬での話になります。
日本では夏はジメジメで冬は乾燥するという気候になります(当たり前だと思っていましたが、海外では夏に乾燥して冬にジメジメという気候の地域もあります)。
あと、このブログでは湿度の話も出てくるのですが、湿度には相対湿度と絶対湿度とあります。
相対湿度は今までよく湿度計なのでみてきた「%」で表しますが、絶対湿度は違います。
相対湿度は空気中に含まれる水蒸気の割合なので温度によって数値が変わってくるのですが、
絶対湿度は空気中に含まれる水蒸気の量なので温度によって数値は変化しません。
絶対湿度でややこしいのは、容積絶対湿度と重量絶対湿度と2つある事です。
容積絶対湿度は、1立方メートルの空間に含まれる水蒸気の量になるので「〇〇g/㎥」、
重量絶対湿度は、1kgの空気に含まれる水蒸気の量になるので「〇〇kg/kg」という単位になります(水蒸気の量をkgで表すと0.008kgのように分かりにくくなるのでgで表す場合もあります)。
このブログでは簡単に「〇〇g」という単位で書きます(文系の私には難しいです)。
目次
①室温が高いから、乾燥する?
まず最初は、「室温が高いから乾燥する」という理由です。
高気密高断熱の家は乾燥するという話題では、この理由はよく見かけました。
室温が高いからというのは、一般的な家と比べた場合になります。
私の今まで住んでいた家も、とても寒かったです。
暖房器具を付ければもちろん暖かいのですが、使用後や使用していない部屋などはめちゃくちゃ寒く温度差は結構ありました。
一方、高気密高断熱の家ではどの部屋も暖かいです(エアコンの場合でも基本付けっぱなしが多いとは思いますが、切ったとしてもそこまで温度は下がりません)。
このように温度差があり、暖かい高気密高断熱の家の方が乾燥するという理由になります。
暖かい方が乾燥するというのは、相対湿度からきているのだと思います。
同じ水分量の空気がある同じ部屋でも、温度が変わるだけで相対湿度は変化します。
例えば、温度20°相対湿度30%の部屋の温度を10°まで下げると、相対湿度は57%になります。
一般的に快適な湿度は40〜60%と言われていますから、上記の場合温度が20°の場合は「乾燥している」、温度を10°まで下げた場合は「快適な湿度」という事になります。
高気密高断熱の家が20°の部屋、そうではない家が10°の部屋とすると、高気密高断熱の家の方が乾燥するという考え方になります。
しかし、どちらも部屋の水分量は同じです(絶対湿度はどちらも4gです)。
温度10°の場合快適な湿度の範囲ではありますが、この部屋にいた場合も「乾燥する」と感じるはずです。
なぜかというと、絶対湿度でいうと8〜10gが理想と言われているからだと思います(インフルエンザ対策には11g程が理想らしいですが)。
ちなみに温度10°の場合の相対湿度100%は絶対湿度では約7.6gであり、理想である8gの水分量を空気中に含む事は出来ません。
人間の体感的には相対湿度も影響するのかもしれませんが、重要なのは実際に含まれている水分量である絶対湿度を重視した方がいいのではないかと思います。
確かに暑い方が乾燥を感じると思いますが、それは汗をかくぐらいの温度での話だと思います(暑ければ汗をかき体内の水分が減少するのでより乾燥を感じると思います)。
高気密高断熱の家でも暖かいと言っても温度は22〜24°ぐらいであり、汗をかくほどの温度ではありません。
「空気中に含まれる割合」(相対湿度)よりも「実際に含まれる水蒸気の量」(絶対湿度)の方が、乾燥するかしないかに直結してくると思います。
乾燥するかしないかに直結してくるのは絶対湿度であり、温度で変化してしまう相対湿度はあまり重要ではないと思っているので、「室温が高い高気密高断熱の家の方が乾燥する」という考えには疑問に思ってしまいます。
②換気システムのせいで、乾燥する?
次は、「換気システムのせいで乾燥する」という理由です。
これは今の住宅では義務であり、高気密高断熱の家だけの話ではありませんがこちらの理由もよく見かけたので書いていきます(昔の家では換気システムは義務ではなかったのでそれとの対比の意味で書かれている場合が多いのかもしれません)。
2003年7月より24時間換気が義務付けられました。
家全体の空気を2時間で全て入れ替えるというシステムになります。
冬の外の空気はとても乾燥しています。
そもそも温度の低いと水蒸気を含む量も少ないので、乾燥しがちにはなります。
その外のカラッカラに乾いた空気を家の中に入れるので、家の中が乾燥するのは当たり前です。
いくら加湿器などで湿度を上げたとしても、24時間換気をしている以上冬に乾燥する事を防ぐ事は難しいと思います。
ただ、換気システムには第一種、第三種などの種類がありますが、全熱交換・顕熱交換という種類もあり、
- 全熱交換・・・温度・湿度両方交換します。
- 顕熱交換・・・温度だけ交換します。
という特徴があり、全熱交換の換気システムなら温度だけではなく湿度も交換してくれるので、冬の乾燥対策にはなります。
「全熱交換の換気システムを採用すれば大丈夫」・・・という上手い具合にはいきません。
一条工務店では「ロスガード」という換気システムを採用していますが、パンフレットをみてみると「温度だけでなく湿度も交換する」と書かれているので、全熱交換の換気システムになるのだと思います。
全熱交換の換気システムでも、やっぱり家の中は乾燥します(冬を過ごしてみて実感しました。ただうるケアのおかげで加湿器を使用しなくても生活する事は出来ました)。
あくまでも交換であり、交換前の家の湿度よりも交換後の家の湿度の方がどうしても下がってしまい、乾燥してくる事になります(外の空気が乾燥している為です)。
以上のように、24時間換気が義務化になり2時間に1回家中の空気の入れ替えをしているので、冬はどうしても乾燥してしまいます。
それは高気密高断熱の家かそうじゃないかで変わらない部分なのではないかなと思いますが、「高気密高断熱の家は乾燥する」という理由の1つに挙げられています。
何故かというと、「高気密」の部分が関係してきます。
「高気密」という事は、家の隙間が少ないという事なので、計画通り2時間に1回家中の空気の入れ替えをスムーズに行う事が出来ます。
外の新鮮な空気と入れ替える事が出来ていいのですが、悪い部分で言えばせっかく加湿器などで湿度を快適にした空気を全部外に出してしまうとも言えます(そして外の乾いた空気を取り入れる事になります)。
一方、高気密ではない家は隙間も多いので、換気システムで計画的に家中の空気の入れ替えが出来ていない可能性があります(換気システムが設置してある空間付近だけの空気の入れ替えです)。
悪い部分で言えば、外の新鮮な空気との入れ替えが十分出来ていないという事になりますが、加湿した空気を全て外に逃していないとも言えます。
この違いが、「高気密高断熱の家は乾燥する」という結論に結びつくのだと思いますが、どうなのかなと疑問に思う所もあります。
何故かというと、気密が悪い家では隙間から自然と空気の入れ替えが行われています。
なので換気システム付近以外でも空気の入れ替えが行われている事になります。
あと、
温度でも湿度でもそうですが、基本的に「高い方から低い方へ移動する」という性質があります。
そう考えると、温めた空気・加湿された空気は寒い空気・乾燥した空気の外へ流れようとします。
外に流れようともしますが、室内でも気密の悪い家では温度などが均一ではないので空気の移動はあります。
そのように考えていくと、気密の悪い家でも気密の良い家と同じように室内が乾燥してくるのではないかなと思っています。
③エアコンを使用する為、乾燥する?
最後は、こちらもよく見聞きする「エアコンを使用するから乾燥する」という理由です。
冬の暖房方法は色々ありますが、大きく分けて、
- エアコン
- 石油ストーブ
以上2つになるのではないでしょうか(一条工務店では床暖房ですが、全館床暖房というのは少ないと思います。大体は一部床暖房で後はエアコンというパターンかなと思います)。
まず最初に冬のエアコンには除湿機能はありません。
夏に使用するエアコンには除湿機能があるので間違いやすい部分ではあると思いますが、冬のエアコンを使用する事により乾燥するという事はないです。
エアコンの除湿というのは、結露させて除湿をします。
夏のエアコンでは、室内の暖かい空気を取り込みそれを冷やす事で結露させて除湿をしています(なので除湿モードを使用しなくても除湿されています)。
一方、冬のエアコンは室内の冷たい空気を取り込みそれを温めて室内に送り出すので、結露しません。
結露を発生させるには、水蒸気を含んだ空気を露点温度まで下げる必要があるので、冬のエアコンみたいに温める方法では結露しないので除湿する事はありません。
なので、冬のエアコンのせいで乾燥するというのは間違いかなと思います。
あとよく見聞きするのは、「高気密高断熱の家は石油ストーブを使用出来ないから」という理由です。
私も昔住んでいた家ではよく石油ストーブを使用していました。
高気密高断熱の家では石油ストーブは使用しない方が良いのですが(二酸化炭素や一酸化炭素の関係です)、それが乾燥の原因という理由になります。
私も調べるまでは知らなかったのですが、石油ストーブは暖めると同時に加湿の役割も果たしています。
「加湿機能あるの?」と疑問に思いましたが、石油は液体でありそれを燃焼しているので水蒸気が発生するので加湿しているという事になります(もちろん加湿器などよりは加湿性能は低いです。石油の水蒸気・・・あまり良いイメージはありませんね)。
そう考えると、確かに石油ストーブを使用出来る高気密高断熱ではない家は乾燥しにくいのかもしれません。
最後に
今回は「高気密高断熱の家は乾燥するのか?」という事について書いていきました。
そのように言われている理由①〜③について書いていきましたが、どれも納得出来るような理由は無いように思います。
理由③で書いた「石油ストーブ」は確かに多少の加湿機能はあるので乾燥しにくいのかなと思いますが、高気密高断熱の家ではない場合も石油ストーブを使用しなかったら同じだと思います。
家作りを始めて、「高気密高断熱の家は乾燥する」と思い込んでいましたが、私の結論としては、「どのような家でも冬は乾燥する」です。
日本の気候では、冬は乾燥してしまいます。
高気密高断熱の家だから特別乾燥するという事はないと思います。
今回ブログを投稿するのが大変遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。
バタバタしていたのと、ブログに書く内容を調べていて「どうなんだろう?」と色々疑問等あり遅くなってしまいました。
私の考察ですので、間違っている部分などありましたら、修正などしていきたいと思います。
今後はもう少し更新頻度を上げていきます。
最後までお読み頂きありがとうございました。